Lecture 1 : ワインド釣法とはどんなテクニックか

  ワインド釣法ってなに? というアングラーのために簡単に説明しておこう。簡単に言えば「ミノープラグを用いず、ジグヘッド+ワームの組み合わせで、連続ダートによってリアクションバイトを誘発させる」という釣法だ。特にシシーバスがルアーに反応する要因の一つに、このリアクションバイト(反射食い)というものが密接に関わっている。
 例えば、ピックアップの動作を行った際にバイトしてくるのもリアクションであるし、フラッシングに反応するのもリアクションといえる。ステディリトリーブの動作中にトゥイッチを入れてやるのもそうだ。そんな数多く存在するリアクションバイトのなかで、ワインド釣法の「左右に激しくダートさせる」というメソッド自体も、以前からバスフィッシングやシーバッシングを問わず行われていたことだ。しかしながら、シーバッシングの世界では、主にこれらを行うのにはミノープラグが主体であり、水深のあるエリアでは攻めあぐんでいたといえるだろう。
 ワインド釣法とは、フィッシュイーターが本能として潜在させているリアクションバイトに主観を置き、彼等の捕食スイッチを強制的に入れ続けることができ、なおかつ、ジグヘッドウエイトの変更により、ミノーでは攻めきれなかった「水深のあるエリア」をワームで攻略することを現実的に可能にした、シーバッシングの新しいジャンル、釣法なのである!

Lecture 2 : ワインド釣法のバックボーン

 ワインド釣法が生み出されたのは、比較的最近のこと。オンスタックルデザインのスタッフによってワインドメソッドが確立され、専用とされるワームやジグヘッドが開発されたのが昨年6月と、日は浅い。発祥が関西のため、関西圏のシーバスのメインフィールドに合ったリグといっていいだろう。関西圏の特徴の一つとして、「水深のある広大なオープンウォーター」が上げられる。その状況下で必要とされるのが、魚に対するルアーのアピール力と、それを長く魚に見せることができるだけの飛距離。おまけに水深があるとなると、前記したようにミノーでは限界が見えてくる。例えばこれをメタルジグで攻略するとなると、バーチカルなゲーム展開を余儀なくされ、左右への連続ダートという理想には程遠い展開となってしまう。
 エギングをされている方なら経験があるかも知れないが、エギを左右に激しくダートさせているとイカのみならず、フィッシュイーターがエギにチェイスしてくることがある。それだけ、左右の連続ダートはフィッシュイーターの本能に訴えかけるものであり、エギという日本の伝統釣法から多くのヒントを得て生まれたのが、このワインド釣法であり、近年ブームとなっているエギングメソッドがその起源とされている。

Lecture 3 : ワインド釣法の効果と利点

 ワインド釣法はシーバスのみならず、数多くのフィッシュイーターに対して抜群の効果がある。これは、魚が持つ本能を刺激するという点から、大きな地域差もない。ワインド釣法は、食うの一言だけではなく集魚効果にも一役買っている。そして、ワインドのアクションによって集められた魚は、その全てが捕食のスイッチを入れられた状態であるということ。そこにターゲットがいれば、食わせる可能性は無限の広がりを見せるのが最大の魅力だ。ワインドによる「連続ダートの有効性」が体感できることだろう。この連続ダートをより効率良く行うために、専用ジグヘッドやワームがあるわけだが、それらには様々な工夫も見られる。
 現在、各メーカーから発売されている専用ジグヘッドには、ダートアクションを優先した形状のモノや、キャスタビリティーを兼ね揃えたモノまで、アングラー側がシチュエーションや技量に応じて選択出来るラインアップが出揃っている。また、専用ワームに関しては、断面が三角形になっており、これがワインド釣法の要。その面が受ける水圧による影響でダートしやすい設計になっている他、次のダートアクションへの移行がスムースに行なわれるためには、断面が三角形であるということに明確なコンセプトが見受けられ、感心せざるを得ない。
 一方、贅沢な問題もある。それは「集魚効果が強すぎる」という部分。私自身、ワインドの本来の有効性は、「ヤル気のないターゲットをその気にさせる」ということだと考えており、元々ベイトに狂ってターゲット自体の活性が高い場合は、攻め手の一つの手段としか考えないようにしているのが実際のところだ。その理由は、表層ベイトであるイワシ等にターゲットが狂っている高活性時に投入すると、ベイトが沈み、「自分だけ釣れてしまう」からだ。そのエリアをシェアしているアングラーみんながワインド釣法なら、なんら問題は発生しないのだが(笑)。

Lecture 4 : 適したポイントはどこか?

 まず、最初の取っ掛かりとして、みなさんが普段行かれているシーバスポイントに行かれることをおすすめしたい。ただ、それだけでは不十分で、ある条件を付け加えたい。一つは、水深が最低でも2〜3m確保された時間帯・潮位での実釣を試みるということ。それと、デイゲームでの実釣ということ。最重要点はこの2つだ。あとは基本的にフィールドを選ばない。河川でもよし、港湾でもよし。島しょ部の波戸などは、最も向いたフィールドと言ってもいいだろう。釣果を左右する要因は、通常のシーバッシングとなんら変わりはないのだが、前記した通り、ワインド釣法は「ヤル気のないやつをその気にさせる」ことがアングラー側の意図により可能な釣法であるため、普段ならば時合が終了したと思われるタイミングで投入しすればいいと思う。もしくは、シーバスは見えるのに、何を投げても反応してくれない場合。これが最もワインドの強さを体感できるシチュエーションだ。沖に存在するブレイクラインを攻めたり、魚の回遊ルートで使用するのも有効。ポイントに関しては写真のような、身近に存在するフィールドで試してもらえたらと思う。
ベイトの寄り着きがいい護岸エリア 深場を重点的に狙おう
波止は水深のある満潮時に狙いたい

Lecture 5 : 釣るための条件

  ワインド釣法に関わらず、シーバッシングにはゲームを成立させるためにいくつかの条件があるのは承知の通り。季節、潮、天候、ベイトの存在等々だ。ミノーでのゲームとなると、これらのどれかが欠けることで、アングラーにとっては不利となるわけだが、ワインド釣法に関しては、これらの条件が最高ではなくても、釣法自体が持ち合わせたポテンシャルによって、多分にカバーされる部分が多い。いくつかある「シーバッシングを成立させるための条件」の中で、最重要視されるのはベイトと考えられており、気温、水温、風、潮の大小等は、結局はベイトの動向に影響を与えるものであり、ベイトがいなければ、シーバスはいない。
「たまごが先か? にわとりが先か?」の話になってしまうのだが、まずはベイトのいるエリアを見つけることが、魚に出会うための近道でもあり、楽しみでもあるように思う。しかしながら、自然相手の遊びであるがゆえ、これをアングラー側がコントロールすることは不可能だ。あえてコントロールできるとするならば、それは魚の活性であり、その手段としてワインド釣法がマッチするという図式が成り立つわけだ。
 ワインド釣法自体が考案されてまだ1年半。これから有効な時期や周年可能かなど、実釣による各地のデータや実績を積んでいく必要性があるわけだが、まずはベイトの有無や、潮が動いているかどうかに重点を置き、思い切りロッドをシャクっていただきたい。

Lecture 6 : どんなタックルで釣るか?

 ワインド釣法は青物に対しても効果が実証されているが、ここではシーバスにターゲットを絞って説明させていただこう。使用するロッドは3.5号のエギが不安なくシャクれる程度のエギングロッドや8ft前後のL〜MLクラスのシーバスロッドが使いやすい。ただし、これらのロッドを使う場合、リールの重量も大事だということを覚えておこう。これはワインドテクニックの中で重要な要素となる鋭くキレのある「連続ダート」を、継続して行うためでもある。シャクリの動作が鈍り、ダート自体に「キレ」がなくなると、釣果は顕著に低下するので、これはこだわりたい。また、ワインド釣法はPEラインを使用するので、ガイドセッティングがPEライン対応となっているエギングロッドの方がライントラブルが少なく、扱いやすいメリットがある。
 使用するリールは2500〜3000番クラス。激しくダートさせている中でのヒットが中心となるので、アワセによる衝撃でのライン切れを防ぐため、使用するPEラインは、最低でも1号がベスト。また、ダートから次のダートへと移行する間のヒットでは、ルアーを呑むケースも見受けられるので、必ず20〜25lbクラスのショックリーダーを組んで、ラインブレイクを最小限に抑えてほしい。


Lecture 7 : ワインドのセッティング方法

 釣果を大きく左右するのが、ワームのセッティング方法。これができなければ釣れるものも釣れなくなる。真っ直ぐ刺していないと、動きが不自然になってしまうからだ。必ず「ワームを真っ直ぐに刺すこと」を心掛けたい。そうすることで安定した連続ダートを演出することができるだろう。ただ、専用ワームには、カットされたメインフックの軸を真っ直ぐ刺すために、最初から穴がサポートされているので、比較的簡単にセッティングできるよう工夫されており、そう難しくはないだろう。さらに専用ジグヘッドを使用すれば、メインフックは最初から切断されていて非常に便利。ここでは、それらの専用アイテムを使用してセッティングの手順を説明しておこう。

1.専用ジグヘッドにプライヤーを用いてフックを取り付ける。シーバスの場合は、カルティバのST-41TN・#2がベスト。ジグヘッドのラインアイホールは若干小さいため、ルアー交換がスムーズに行なえるよう、スプリットリングを取り付けておくと便利だ。
2.専用ワームに施されているホールに沿って、ジグヘッドを真っ直ぐ刺し込む。ワームには上下があるので、間違えないように注意。
3.奥までしっかりと刺し込んだら、トリプルフックの内の一本を専用ワームの腹部に刺し込んで固定。この時、残り2本のフックが、左右均等に振り分けられるように固定する。
4.上下左右から見渡し、ワームが真っ直ぐに挿せているか、フックの固定が曲がってないかを確認し、問題なければ完成だ。
※注意点として、4については実際に使用している最中にも、時折チェックをしてほしい。特にバイトやヒットのあとは要チェック!

オンスタックルデザインのZZ Headはフックがないので、ST-41TNをセット
ワームの中心を通るように、慎重に刺し通していく。ヘッドまで押し込んだら、ハズれないようにワームを固定
釣果を左右するだけに、ワームが真っ直ぐ刺さっているか上下左右を要チェック

Lecture 8 : ワインド釣法はこう釣る!

 ここまでできたら、あとはフィールドでシーバスを掛けるだけだ。エギング経験者ならば、非常にたやすい動作の連続。とにかくテンポ良く、キレのあるダートを演出させるために、ロッドを強くをシャクること。平均的なペースとしては、1秒間に2回程度のペースでシャクり続ける感じだ。「食わせの間」を意図的に作るために、ルアーをステイさせたりする必要は一切ない。これは見切りに繋がってしまう。
 また、シャクリとシャクリの合間に発生するラインスラッグが起きている時は、水中のルアーは惰性により、テンションが抜けた状態でスケーティングしている。それをシーバスが咥え、次のシャクリ動作によってフッキングするというメカニズムだ。ただ、テンションが抜けている状況でのヒットは、シーバスがルアーを咥えているだけの状態であるため、必ず追いアワセを入れてファイトしてもらいたい。
 ターゲットが近い距離にいれば、あえて遠投する必要はないが、ワインド釣法のメリットでも説明したように、ワインドには「集魚効果」が備わっている。まずは広範囲に渡って魚を集めるために遠投することが爆釣への最初の工程だ。
 これには1/2ozのジグヘッド+90mm・マナティーの組み合わせが有効。1ozに上げてしまうと、エギングロッドでシャクり続けるのはかなりの重労働なので止めておいた方がいいだろう。とにかく動きが鈍ると釣果が落ちる釣法なので、「動き」に重点を置いてシャクってほしい。ある程度ターゲットが近い距離まで集めることができたら、3/8ozに70mm・マナティーの組み合わせでOKだ。
※シャクリの注意点:PEラインは風の影響を受けやすく、場合によってはガイド絡みを起こしてしまう。ラインがガイドに絡んだ状態でシーバスがヒットすると、場合によってはロッドティップを破損する恐れもある。向かい風が強い場合は、ラインスラッグを速めに巻き取るように意識すること。


Lecture 9 : ワインド釣法の実績

 昨年、実に多くのシーバスを掛けた。手首を痛めるほどだ。しかも、それがデイゲームとなると、楽しさは数倍にも膨れ上がる。そして昨年参戦した志波洲庵OSD。10月15〜16日に行なわれた第5戦では、マナティーのワインド釣法で挑み、6位入賞を果たすことができた。大会におけるルアーの選択は、自身が信頼できるモノでなければ務まらないし、モチベーションも維持できない。もちろん、本戦をワインド釣法で挑むにあたって、それまでに信頼できる実績を積み上げたことが前提であり、結果、信じて使用することで短時間の参加ながら上位に残ることができたわけだ。


Lecture 10 : まとめ

 ワインド釣法は、攻めの釣り。各自シャクり方も様々で、それに伴いルアーの動きにも個性が表れる。その個性が、その日のヒットパターンに繋がるかどうかは、それぞれの引き出しの多さに左右される。いろいろなシャクリのテクニックを身につけて、ワインド釣法を堪能していただきたい。


■松尾 道洋
プロフィール/ラパラ・テスター。Mリグの生みの親として有名。全ての魚種に対して貧欲にランカーを追い続けるマルチアングラー。ワインド釣法の使い手でもある。



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